2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520338
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸尾 誠 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 准教授 (10303588)
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Keywords | 中国語 / 移動動詞 / 空間認識 / 方向補語 / 現代中国語文法 |
Research Abstract |
現代中国語における空間表現に関する各種文法研究のテーマの中で、本研究課題である発話者の空間認識が顕著に反映された文法事象の1つとして「方向補語の派生義」が挙げられる。各種方向補語の用法に関する体系的な解釈の構築を目指す一環として、平成19年度においては、その個別の用法の多様性から個々のものを概括する概念を打ち出すことがとりわけ困難なものの1つである"起来"の用法を取り上げ、その成果を以下2つの論文としてまとめた。 ≪趨向補語通釈≫劉月華主編(北京語言文化大学出版社、1998年)は各種方向補語の表す文法的意味について体系的に記述した書であり、そこでは「方向義」「結果義」「状態義」という3つの側面から分類が進められている。そして、"起来"についても、同様のやりかたでそれと結び付く動詞の意味特徴を基に区分されているものの、それらの表す意味は、フレーズレベルにおいて判断できるような排他的な1対1の対応といえるものではない。 論文「現代中国語の補語"起来"について」(査読付き)では、このような分化がみられる補語"起来"の表す文法的意味について、上記劉月華1998の3つの分類間に内在する関連性に言及しつつ、考察を試みた。そして"起来"の表すいわゆる集中義が想起させる「形成」という概念が、「結果義」に混在する各種意味においてどのような形で実現・認識されるのかについて述べた。 また、論文「中国語における「開始義」について」では、"起来"の代表的な派生的用法である「〜し始める」という開始義およびその周縁的な用法について考察し、アスペクトに関わる意味が、モダリティに転用される状況について述べた。
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Research Products
(3 results)