2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520338
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸尾 誠 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (10303588)
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Keywords | 中国語 / 移動動詞 / 空間認識 / 方向補語 / 現代中国語文法 |
Research Abstract |
現代中国語における空間表現に関する各種文法研究のテーマの中で、本研究課題である発話者の認識というものが最も顕著に反映された文法事象の1つとして「方向補語の派生義」が挙げられる。各種方向補語の用法に関する体系的な解釈の構築を目指す一環として、平成22年度においては、前年度からの継続して行っている方向補語の用法を中心に取り上げ、「中国語の動補構造"V回(来/去)"について」というテーマで口頭発表を行った。補語"回(来/去)"は、抽象義への広がりがみられず、方向義を表すにとどまることもあり、日本人学習者にとって、その用法が難解なものとして取り立てて問題となることはない。しかし中国語では「同じもの」が「元の位置に戻る」わけではないケースにも"V回"の形が用いられることもあり、この場合には日本語の「帰る・戻る」という概念とは対応しない。現在執筆中の論文では、こうした用法を概観しつつ、動補構造"回(来/去)"の形で表現される動機づけについて考察している。 また研究成果の一部である論文「中国語の方向補語について-日本人学習者にとって分かりにくい点」では、日中対照という観点から日本人学習者にとって分かりにくい方向補語の各種用法を整理したうえで、その要因を分析した。 さらに、中国における2件の口頭発表(11.研究発表の欄参照)に基づき論文<日本人学習趨向補語的難点>(査読付き)および「中国語の方向補語をめぐる問題-教授法について考える」を執筆し、いずれも掲載が決まっているものの、その論文集の出版日については未定である(原稿は既に提出済み)。
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Research Products
(4 results)