2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520341
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 陽一 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (50301271)
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Keywords | 比較構文 / 生成文法 / かき混ぜ規則 / 浮遊数量詞 / 二次述語 / 付加詞条件 / 素性照合 |
Research Abstract |
平成20年度は、「個別言語の記述・比較対照研究」において、日本語の「より(も)」によって導かれる節が(1)の統語環境において(2)に示したように「かき混ぜ規則(scrambling)」の適用を許すことを明らかにした。 (1)太郎は、友達を[[花子が誉めたより(も)]大勢]誉めた。 (2)[花子が誉めたより(も)]_1太郎は、友達を[t_l大勢]誉めた。 これに対し、(3)の環境では、(4)のように「かき混ぜ規則」の適用が許されない。 (3)??お昼御飯に学生が[[そばを食べたより(も)]大勢]うどんを食べた。 (4)*[そばを食べたより(も)]_1お昼御飯に学生が[t_1大勢]うどんを食べた。 (2)と(4)の文法性の差は、目的語を修飾する浮遊数量詞の場合のみ移動が許されることを示している。同様の差は、英語、スペイン語等において二次述語から要素を抜き出した場合にも見られる(Borgonovo and Neeleman2000,Demonte1988)。よって、この日本語の比較構文で見られる差は、日本語の浮遊数量詞が二次述語である、新たな証拠として考えられる。更に、浮遊数量詞が付加詞であると仮定するならば、付加詞からも移動が可能であることを意味している。「理論的研究」では、ミニマリストプログラムの枠組みにおいて、目的語を修飾する二次述語の場合は、相(ASPECT)に関して主節と素性照合が起こるため移動が可能になることを明らかにした。最終的に、本研究は、付加詞からの移動に関わる、新たな条件を明らかにし、移動現象に関する理論の発展に大きく貢献した。
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Research Products
(4 results)