2007 Fiscal Year Annual Research Report
大規模な電子資料の利用による日本語文法の未開拓の基礎的諸問題の原理・実証的考察
Project/Area Number |
19520342
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田野村 忠温 Osaka University, 文学研究科, 教授 (40207204)
|
Keywords | 日本語学 / 電子資料 / コーパス / コピュラ |
Research Abstract |
本研究は、日本語の大規模な電子資料(コーパス)を用いて日本語文法の未開拓の基礎的な諸問題を考察することにより、(1)電子資料に基づく日本語研究の基盤の形成と発展に寄与するとともに、(2)電子資料利用の目的である日本語研究そのものに対して実質的な貢献をもたらすことを目的としている。 交付申請書の研究実施計画で予定していた通り、本年度は2006年秋に出版した論文「コピュラ再考」において内省に基づく考察を行った日本語のコピュラ文の問題を取り上げ、大規模な電子資料を用いてその実態の解明に取り組んだ。日本語の最も基本的な構文の1つであるコピュラ文の問題は多岐にわたるが、それにもかかわらず考察の出発点にあるべき形態的、統語的な研究はほとんど手つかずの状況にあった。「コピュラ再考」で明らかにした通り、コピュラ文にはそのいくつかの局面においてゆれが見られる。本年度は、特に引用の「と」の直前の位置におけるコピュラの潜在の実態などについて数種類の大規模な電子資料を用いた調査・分析を行った。 日本語研究における電子資料の利用の歴史は浅く、今後検討を要する問題は多い。本研究では、コピュラ文の考察を通して、電子資料の規模、種類、利用法といった様々な角度から電子資料と日本語研究の関係の検討を行うとともに、電子資料の利用によって新たに可能となる日本語研究の領域・方法の可能性を探った。また、日本語の電子資料から表現を検索してKWICソフトウェアなども開発し、公開した。
|