2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520353
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
蔵藤 健雄 University of the Ryukyus, 教育学部, 准教授 (60305175)
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Keywords | 比較表現 / 形式意味論 / 程度表現 / 接頭辞 / モデル理論的意味論 |
Research Abstract |
本研究の主たるテーマは、比較表現における「程度(extents)」と「差(differences)」をモデル理論的意味論の枠組みで明確に定義し、関連する諸言語事実に理論的説明を与えることである。そして「『程度』と『差』はともにスケール上のポイントの集合として表され、それ故、意味型(type)は同一であるが、両者は類(sort)が異なる」という仮説を立て、論証を試みている。19年度は、比較を表す接頭辞out一の意味論について考察した。比較接頭辞out一を分析する際に、上の仮説は有効である。例えば、(1)*Mary outran John fast. (2)Maryoutran John faster than Sue did.の対比は、(2)では、2つの「差」が比較されているが、(1)のように、MaryとJohnの速度の「差」とfastで導入された速度の「程度」は意味の類が異なるので比較できないため非文となる。19年度はこの仮説を「正の程度」と「負の程度」の対比に応用することを試みた。数名の言語学者からフィードバックを得ることができたが、英語母国語話者の中には(1)と(2)の間に容認度の差があることは認めるものの、そもそも(2)が完全に文法的な文とは言えないという判断をする者もいた。(2)を容認する話者としない話者の違いが何に起因するのかを引き続き考察する。
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Research Products
(2 results)