2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520354
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野上 さなみ 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (80325828)
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Keywords | 言語学 / ドイツ語 / 意味論 / 動詞範疇 / アスペクト / 語彙概念 / 時制 / 対照言語学 |
Research Abstract |
平成19年以降、ドイツ語では文法範疇として確立しているとは言えない「アスペクト(相)」の概念が、積極的に表現される際の特徴を探る調査を中心にして研究を進めてきた。研究初年度には、英語の進行形で表現される不完了アスペクトの概念をドイツ語で表現する際に用いられる手段とその分布を英独語の比較対照によって示し、3年目までに動詞の語彙に含まれる意味論的特性が、自動詞の複合時制を作る際の助動詞選択にどのような影響を及ぼすのかを仏独語の対照によって調査した。これらの成果を受けて、動詞を構成する語彙概念とそれが文法範疇に及ぼす影響をより体系的に示すことが必要であると考え、ドイツ語の動詞の語彙化の特色および語彙概念が動詞範疇に及ぼす影響を明らかにすることを、研究の次段階の課題と考えている。平成22年度にはその第1段階として、ドイツ語における「『進行運動』を表す自動詞」の語彙化の特徴の調査を開始した。現在、該当する自動詞の収集を行っており、それと平行して語彙化される共通要素の列挙、および語彙化のパターンを突き止める作業を進めている最中である。進行の方向、運動の在り方(動きの特徴)、運動の手段といったいくつかの概念の組み合わせ方にパターンが見受けられ、これらの概念と文法範疇の関連の在り方を他言語と対照することによって、ドイツ語の動詞(および動詞範疇)の特質をより詳細に示すことが可能であろう。今後は、進行運動以外の意味内容を表す様々な動詞に調査範囲を広げていく予定である。
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