2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム語における漢越語の品詞性に関する共時的・通時的研究
Project/Area Number |
19520357
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 政明 Osaka University, 世界言語研究センター, 准教授 (10314262)
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Keywords | 外国語 / 言語学 / ベトナム語 / 漢越語 / 品詞 / 国際情報交換 / ベトナム |
Research Abstract |
最終年度にあたり、平成20年度に着手した漢語系語彙の統語レベルにおける分析作業、ならびに通時的側面における初歩的考察を完了し、全体のまとめを行った。1.ベトナム語母語話者コーパスの分析に基づく漢語系語彙の統語論的特徴の記述、2.これまでに収集した日本人ベトナム語学習者の産出データの整理とデータベース化、3.歴史的記述のための基礎データの整備、である。 初年度に整備した漢語系語彙リストに基づき、ベトナム語母語話者コーパスから漢語系語彙の諸特徴の中でも特に統語的特徴を抽出する作業をまとめた。昨年度収集したベトナム語における品詞分類の諸研究を参照しつつ、コーパスを基に帰納的に抽出された各語彙の品詞性について記述・検討した。また、昨年度に引き続き、日本人ベトナム語学習者による産出データの収集作業を続行し、産出データに基づく漢語系語彙の正用・誤用の状況については、学習者が参照可能な形に整理した。 漢語の意味的・統語的特徴の史的変遷という観点から、主に15世紀以降の漢字・字喃資料、並びに17世紀以降のキリシタンローマ字資料における漢語の用法について調査する基礎を構築するべく、各種漢文・字喃資料の整理を行った。 最終的に、母語話者による漢語使用状況の分析結果と学習者の誤用という視点から得られた知見を比較検討し、ベトナム語の漢語系語彙の持つ統語的特徴を記述することにより、ベトナム語と日本語の双方向の漢語系語彙の転移の実態について明らかにした。また、通時的言語データを整備し、漢越語の持つ統語的側面の全体像を記述する基礎を構築した。
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Research Products
(2 results)