2008 Fiscal Year Annual Research Report
縦断データによる日英バイリンガル言語習得メカニズム研究
Project/Area Number |
19520358
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田浦 秀幸 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (40313738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 アマンダ 摂南大学, 外国語学部, 講師 (60388642)
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Keywords | バイリンガリズム / 言語習得 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
バイリンガル被験者2人から10年以上に渡り収集したスピーキングデータ分析に関して、20年度は以下の2点を遂行することが出来た。 (1)19年度に完了した流暢さ(ポーズ)と使用語彙レベルに関する下分析データを基に、2被験者に共通する9才8ヶ月〜15才9ヶ月の間に収集された全183データから14ストーリーテリングデータ(7データ/被験者)を抽出し、流暢さと使用語藁レベルの縦断的(各被験者内比較)・横断的(被験者間比較)を行い、全データ分析のパイロットケースとした。 Laufer & Nation (1995)を用いた語彙レベル分析では、タスクの性質上1,000語レベルの語彙が6年間両被験者ともに60〜70%以上の割合で使用され、2,000語レベル以上の語彙使用にもほとんど変化が見られなかった。一方流暢さ分析では、文間(話の内容を考えるのに必用な)ポーズと文中(単語の想起に必用な)ポーズが平均1,000msで6年間推移した1被験者に対して、別の被験者は徐々に文間ポーズが長くなる傾向を示した。全タスク時間や平均発話語数等の比較より、2被験者間に流暢さの差はなく、聞き手を楽しませようとする努力が1被験者ではストーリープラニングに時間を割かせたと考えられた。ツールの有用性が認められたので、次年度以降対象データを増やし、フリースピーキングデータとの比較も進める計画である。 (2)質的分析に適したツールを先行研究の精査により選定することが出来た。量的分析にも関連する名詞や動詞の使用分析(コンテキストに最適な単語か一般的な単語の使用なかの:e.g,`groan' vs `say')や時制の選択(現在時制の使用は過去時制に比べ臨場感や情緒移入が高い等)に注目する以外に、言語環境による影響(日本滞在時の英語産出の特徴と英語圏滞在時の英語産出の特徴の比較)及びストーリーテリングタスク時に果たす話者の役割(1登場人物からの視点か、第3者としての視点かの比較)に焦点を当てた分析に21年度から当たることをに決定した。
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Research Products
(6 results)