2010 Fiscal Year Annual Research Report
縦断データによる日英バイリンガル言語習得メカニズム研究
Project/Area Number |
19520358
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 アマンダ 摂南大学, 外国語学部, 講師 (60388642)
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Keywords | バイリンガル言語習得 / ナラティブ分析 / 言語習得縦断研究 / ブレインイメージング |
Research Abstract |
過去3年間は、収集データの整理・音声データのポーズ分析・書き起こしデータの正確さ・複雑さ・語彙分析を行ってきたが、本年度は、収集データのうちで物語データに関してナラティブ分析を行った。その結果を過去3年間の分析と総合考察としてまとめた。4才9ヶ月から19歳1ヶ月の間、日英バイリンガル(N=1)を追跡調査したデータ分析の結果、日本在住のためどうしても劣勢言語となりがちな英語の習得について以下の点が判明した。(1)本被験者の英語習得は多くの側面で、英語母語話者の発達段階に類似している、(2)言語間距離の離れている2言語であり、かつ劣勢言語への言語接触が、生活・学校言語である優勢言語(日本語)より少ないが、日英語2言語とも母語話者と同様に発達させることができる、(3)ただし、モノリンガルには見られないバイリンガル特有の誤りやナラティブスタイルも同時に観察された、(4)劣勢言語(英語)への大量で集中的な接触が、ある年齢時期に必要であり、これにより英語母語話者の言語レベルに到達することも示唆された。 総合すると、リサーチクエスチョンとしていた、日英バイリンガル児対象のSDH (separate development hypothesis : 2言語独自習得発達仮説)を概ね支持する結果となった。 膨大なデータを様々な側面から分析したので、詳細結果は既に論文化されているので、それを冊子あるいはCD-ROM報告書として2011月5月に提出する予定でいる。 また、当初予定してなかったブレインイメージング(fNIRS)データを当該被験者から3種類収集できた。このデータを、(1)第二言語接触開始時期や2言語接触期間の差による4群分けした日英バイリンガル、及び(2)臨界期以降に公教育で外国語として英語学習を開始した日本人大学学生収集したデータと比較を行えたので、ごく一部分であるがデータ分析を完了し論文化できたのも大きな成果となった。これらのデータの詳細な分析は今後継続する予定である。更にナラティブ分析を通して、バイリンガルのアイデンティティ研究にも着手することができたのも成果である。
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Research Products
(5 results)