2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニューカレドニア地域と周辺の危機に瀕した言語の文法記述および辞書の編纂
Project/Area Number |
19520366
|
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大角 翠 Tokyo Woman's Christian University, 現代文化学部, 教授 (10141293)
|
Keywords | ニューカレドニア / ティンリン語 / ネク語 / 音韻・文法記述 / 辞書・テキスト / オーストロネシア言語 / 消滅の危機に瀕した言語 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究はニューカレドニアと周辺地域の先住民族の言語の記述、記録、出版を目指した。ニューカレドニアの先住民語はここ数年の間に、チバウ文化センターを始めとした多くのプロジェクトによって調査や記録が進められているが、大半が非専門家によるもので正確さに欠けるものとなっている。これらの言語は多くが消滅の危機に瀕しているので、調査は緊急を要するが同時に慎重かつ丁寧になされる必要がある。 大角翠(研究代表者)はこれまでまったく手のつけられていなかったネク語の現地調査を6年前から行っているが、2007年の8,9月においては、新たにネク語話者のギュスターブ・カオパの多大な協力を得て、これまでの収集資料の確認と共に新しいテキストやワウェ部落の人々との会話を長時間分収録することができた。ギュスターブの助力でできる限りの文字化も行い、ヌメアではこれまでと同様、ジゼル・ウインベ宅に泊まり、録音したネク語の聞き取り、文字化を進め、また文法を中心にジゼルから聞き取り調査を行った。また、ネク語周辺や他のメラネシア言語の資料の収集も行った。収集した音声資料はコンピューターに入力し、更に文法分析、辞書編纂を進めた。協力者の辻笑子により辞書ツール(ツールボックス)への変換も徐々に行っている。また、ティンリン語の辞書は入力はほぼ終えたが現在データの追加や改正を行っている。フランス語訳も協力者とともに随時行っている。 得られた知見は平成19年7月のCOOL7(オセアニア言語国際学会)で、辻笑子と共著で口頭発表を行った。平成19年9月にはニューサウスウェールズ大学言語学科でニューカレドニアの言語についてセミナー講演を行った。また、現在、『オセアニア学』(共著)その他に掲載する論文を執筆中である。
|