2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューカレドニア地域と周辺の危機に瀕した言語の文法記述および辞書の編纂
Project/Area Number |
19520366
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大角 翠 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10141293)
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Keywords | 言語学 / 消滅の危機に瀕した言語 / 先住民語 / 音韻・文法記述 / 辞書・テキスト / オーストロネシア言語 / 国際研究者交流 / ニューカレドニア:オーストラリア:フランス:アメリカ |
Research Abstract |
本研究は、ニューカレドニア地域周辺の消滅の危機に瀕した言語を現地調査に基づき記録し、文法記述と辞書の編纂を行うことを目的とした。平成22年度は前年度の現地調査で得た資料のコンピューター入力、言語分析を続け、9月にはオーストラリア国立大学太平洋・アジア研究所でN・エヴァンス(海外共同研究者)と認知言語的方法を用いた言語調査の打ち合わせを行い、またオセアニア資料収集及びセミナーを行った。8、9月にはニューカレドニアのワウェ部落およびヌメアでネク語調査を行った。昨年度に出版したニューカレドニアの民話の絵本のネク語、フランス語版の準備のため、ネク語を再度調査し、G・ウインベによる朗読の録音を行った。この民話と類似した民話がオロウェ語、ハワイ語、タヒチ語、ヴァヌアツの言語でも見つかった(研究協力者、辻、佐藤、J・ハモンド、内藤による)。 ニューカレドニアの先住民語は近年チバウ文化センターを中心として主に辞書の編纂が進行しているが対象言語は比較的話者数の多い言語であり、また文法研究は非常に少ない。ティンリン語、ネク語は話者数が200人余りしかおらずまさに消滅の危機に瀕しているが、本研究以外の研究はほとんど皆無である。研究代表者はこれらの先住民語研究において多くの文法現象を記述・分析し、これまで言語理論やタイポロジー研究に大きく寄与してきた。成果は学会発表や論文だけでなく、マックス・プランク発達人類学研究所によるThe World Atlas of Language Structures(オンライン)に詳細に取り上げられている。現在まで現地調査は毎年続けられており、収集された音声資料はコンピューターに入力され、テキスト化(文字、音、形態素と訳)、文法分析、辞書の編纂、アーカイブ用のデータづくりが行われた。両言語の辞書のフランス語訳に関しては海外共同研究者のT・ブケーが作業を進めティンリン語はほとんど完了し、ネク語は最近得られた語彙項目や民俗語彙の追加作業中である。
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Research Products
(6 results)