Research Abstract |
本研究は,「呼びかけ語」をディスコース・マーカーとして捉え,現在では知ることのできない近代英語期の口語表現の特徴を歴史語用論的視点から,コーパス・アプローチによって,量・質の両面からの分析をすることを目的とするものである。使用するデータは裁判記録を集めた約12万語からなるコーパスである。 本年度の研究目標は,今後の研究のための基本的なデータ環境を整えることにあった。手持ちのコーパスは生のテキストなので,分析するためには,そこにアノテーションと呼ばれる標識を書き加える必要がある。しかし,アノテーションを新しく考案するためには,まず生のデータを読み込み,どのような標識が必要で,また可能なのかを見極める必要があった。そのため,今年度は過去の同様な研究,文献を調べ,どのようなアノテーション・システムが実際に有効に使われているかをサーベイし,必要なアノテーションのプランを立てた。また,裁判テキストを実際に分析することによって,どのような言語分析が有効かをパイロット・スタディーとして調べる必要があった。上記の必要から,本年度は同分野における過去の自他の研究を総括して諸学会において発表したり,大学の紀要や論文集に投稿した。また,日本語の裁判記録を使った事例研究として,日本語のテキストの語用論的分析を行い,学会で発表し,同分野の言語学者たちからのフィード・バックを得た。学会発表後,海外の研究者から来年度の学会発表の誘いを受けるなど,今後の発表や研究の手がかりも得ることができた。
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