2008 Fiscal Year Annual Research Report
裁判記録から探る近代英語期口語表現の歴史語用論的研究:コーパス・アプローチ
Project/Area Number |
19520367
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
椎名 美智 Hosei University, 文学部, 教授 (20153405)
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Keywords | 歴史語用論 / コーパス・アプローチ / 近代口語英語 / 談話標識 / 歴史社会言語学 / 文体論 / 談話分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代英語期の口語データを集めたコーパスをデータとして使い、「呼びかけ語」を中心とした談話標識に注目して対話を分析し、「呼びかけ語」の語用論的役割を量的・質的に分析することにあった。裁判という特殊な言語環境における「呼びかけ語」使用の通時的変化を量的に分析し、当時の一般的な口語表現の特徴と比較し、裁判という特殊なコンテクストでの言語使用の特殊性に注目することが目的であり、そのためには、過去に行ったドラマテキストの研究と比較をすることにより、裁判テキストの特徴をよりきめ細かく捉えることが必要であった。研究計画としては、まずコーパス環境を整備し、データを量的に分析することが必要であったが、その点については、完全ではないがある程度の成果が得られた。裁判という特殊な言語環境における呼びかけ語使用の一般的な傾向をみることができた。また、研究成果を発表する過程において、日本における歴史語用論研究者を組織化することができたことは、今後の歴史語用論研究の普及と発展への大きな貢献といえる。昨年度組織された研究会では、数回にわたって、国内外の歴史語用論研究者が集まって研究発表会をおこなったが、そこで本研究の成果も発表することができたし、国内外の研究者との意見交換やフィードバックもできた。さらに、これらの研究をふまえて、来年度には国際的な語用論学会において、日本の研究者からの発信をしていくことになっている。本研究をきっかけにして、自分の研究の充実だけでなく、日本国内における歴史語用論研究者を結集し、また海外の歴史語用論研究者との連携をとることができるようになったことは、当該分野における大きな貢献といえる。
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