2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520368
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
新田 春夫 Musashi University, 人文学部, 教授 (00012443)
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Keywords | 言語学 / 独語 / 社会語用論 / 修辞的手段 / 論争 |
Research Abstract |
1)主としてトーマス・ムルナーの論争書、風刺劇「ルターの大馬鹿者について」を社会語用論的視点から分析を行った。 2)ムルナーは、これまで研究してきたエック、エムザー、ルター、ミュンツァー、ツヴィングリらとは異なって、論争書とは別に風刺劇のような文学的フィクションという手段によって反宗教改革運動を進め、一般庶民を啓蒙することを試みたことが特異な点であることを確認した。 3)論争書が相手を論理的、客観的に説得しようとするものであり、どちらかといえば知的レベルの高い者に向けたものなのに対し、風刺劇のような文学的フィクションは反宗教改革運動に対する情緒的な共感を得ようとするものであり、一般庶民を対象としたと考えられる。ムルナーの場合、彼の風刺劇という文学的手段がどのような位置づけになるのかについて論争書の場合とを比較しつつ社会語用論的視点からさらに記述する必要があることが明らかになった。 4)昨年に引き続き、ベルリン自由大学にFranz Simmler教授を訪問し、歴史的語用論、社会的語用論に関する意見交換を5日間にわたって行った。 5)昨年に引き続き、ベルリン自由大学図書館においてカトリック神学者、エック、エムザー、ムルナーとプロテスタント神学者ルター、ミュンツァー、ツウィングリらの著書、彼らに関する研究書などの資料の収集を行った。 6)トーマス・ムルナーに関する研究成果を武蔵大学人文学会雑誌第40巻2号に発表した。
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Research Products
(3 results)