2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本語的発想と表現との関係に関する対照談話論的研究
Project/Area Number |
19520389
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
沖 裕子 Shinshu University, 人文学部, 教授 (30214034)
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 大韓民国:中華人民共和国 / 談話 / 談話論 / 発想と表現 / 申出談話 / 依頼談話 |
Research Abstract |
日本語的発想と表現との関係について対照談話論的に明らかにすることを目的とし、次の研究成果を得た。1.(1)『方言文法全国地図』質問文<260-B>「(その荷物は私が)持ちましょう」という談話表現に、地理的分布が発見できることを実証的に示した。談話を構成している諸単位の結節法から談話の分析視点を設定したことが重要な点であり、その結果として、日本語内の発想と表現の方言差に関する指摘を得たことに意義があると考える。(2)日韓中にエティックに共通する場面であっても、場面ごとのイーミックな価値は異なっており、それに応じて談話展開が異なることを明らかにした。たとえば土産を渡す場面では、「土産」という物そのものの社会文化的価値が日韓中で異なり、場面の意味自体に相違が現れるとともに、それに起因して、言語を用いた談話展開にも差が現れることを具体的に指摘した。文化的発想と談話表現との関係の考察において、新たな分析視点と方法を開発したことに重要性と意義があると考える。2.信州大学に於て意見交換のための研究会(通算3回目)を開き、国際研究者交流を行いつつ議論の場を形成した。また、海外2箇所で行った学会発表の機会を利用して、国内外の研究協力者と国際情報交換を行った。国際研究チーム内の対話が深化した点に意義と重要性がある。3.研究成果物として、研究協力者との共同研究成果を含む、原著論文2編、国際学会における口頭発表論文2編を著した。沖裕子「発想と表現の地域差」、沖裕子・姜錫祐・趙華敏・西尾純二「日韓中の外言談話にみる発想と表現-日本語と日本語教育のための基礎的研究-」。沖裕子・趙華敏「発想と表現からみる日本語依頼談話のしくみと指導」(於中国上海市同済大学、第5回中国日本語教育研究国際シンポジウム)、沖裕子「日本語依頼談話の結節法」(於韓国ソウル特別市誠信女子大学、韓国日本語学会第21回学術発表会)。
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Research Products
(7 results)