2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木田 章義 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (30131486)
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Keywords | 両足院 / 抄物 / 林宗二 / 利峯東鋭 / 梅仙東逋 / 清原宣賢 |
Research Abstract |
仮名を含む資料の撮影はほぼ終了し、順次、担当者を決め、分析研究に入った。ただ、禅僧の抄物は、漢文の微妙な読み方の違いや解釈についての議論が多く、原典に対する理解が深くなければならない。そのため、原典と抄文の読解がたいへん難しい。その上、大部なものが多いため、担当者は読み通すだけでも四苦八苦するという状況になる。作業は予想以上に停滞した。そのため、刊行を予定していた典籍は、この計画期間中には刊行できなかった。「柳文抄」は、もうすぐ刊行の予定である。 昨年度、存在を確認した「刻楮集」は撮影も終わり、分析にはいることができた。「刻楮集」の分析を通じて、臨済宗の学僧たちがどのような典籍を読み、どのように学習してきたかを明らかになりつつある。当時の禅僧たちは、その当時、中国で利用されていた多くの注釈書を参考にしながら、原典を読解していたことが分かり、かなり高い研究水準に至っていたようである。これは現代の中国語学・中国文学の研究水準と同じレベルにいたらなければ、しっかりとした読解ができないということでもあり、停滞もやむを得ないと思われる。 しかし、若い研究者も育ちつつあり、分析調査がおくれているとはいっても、「柳文抄」に続いて「左伝抄」、「周易抄」、「四河入海」の研究はかなり進んでおり、成果が上がり始めていることは間違いない。来年度以降、これらの典籍の影印本が刊行できるよていである。また、彼等が、続々と研究論文を発表してゆくことになるであろう。若い人々の論文を集めて、両足院関係論文集を編纂したかったが、原稿が揃えられなかったのが残念である。
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