2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520399
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
堀畑 正臣 Kumamoto University, 教育学部, 教授 (60253704)
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Keywords | 古記録 / 日本語学(国語学) / 室町前期 / 記録語 / 記録語法 / 師守記 / 看聞日記 / 「有御〜」 |
Research Abstract |
平成20年度は、暦応二年(1339)から応安七年(1374)の記録をもつ中原師守の日記『師守記』の記録語と記録語法の調査を行った。▼『師守記』の記録語としては、「青侍、及晩頭(及晩)、各出、有(手屓)其数、兼日、故障、縡(こと)〜、計會、指合、参差、侘〓、大略、比興、秘計、不便、以外、与奪、牢籠」などが見えた。▼唐代口語出自の語としては「向後」があるが唐代口語出自の語は少ない。▼唐名としては「武衛」「黄門」「大理」などがあるが少ない。▼記録語法としては、「有御〜(御〜あり)」の「御〜」部は、「御教書」「御文」「御風呂」「御飯」「御故障」「御返事」のような名詞から、「被仰下事」「御尋事」のような「事」で括った名詞句、「御覧」「御存知」「御封面」「御聴聞」「御同車」「御披露」「御奉行」のような動詞性を含んだ動名詞、そして「御参」「御出」のように訓読みの可能性もあるが多分に音読みの漢語で動詞性を持つ語と取る方が無難なもの、最後に「御返」「御渡」「御尋」のように「御(お)+和語」形式のものにまで、広がってきている状況が読み取れる。比較検討のため『覚一本平家物語』における「御〜あり」を調査した。今後、中世の和漢混淆文と古記録の比較研究ができると期待している。▼「被下(くださる)」の目的語は「宣旨、折紙、御牒、令旨、下名、御暦、御補歴、用途一結」などの名詞が見える。▼「以〜被〜(もって〜らる)」の語法もある。一見して未だ室町前期の『師守記』は『看聞日記』のように多様な記録語の出現はない。▼このほか、昨年同様、『看聞日記』の調査研究も継続して行った。
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Research Products
(1 results)