2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本人のコミュニケーション行動の変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
19520405
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
陣内 正敬 Kwansei Gakuin University, 総合政策学部, 教授 (70154424)
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Keywords | 日本人 / コミュニケーション / 戦後 / 高校野球 / 選手宣誓 / 1980年代 / 型 / 自己表現 |
Research Abstract |
昨年度に収集した、高校野球の選手宣誓を時系列的に整理し、文言やパラ言語から、どのような変化が見られるかについて考察した。その結果、とくに1980年代半ばにおいて大きな断絶が見られ、それ以降は、型にはまった宣誓から、多様化、個性化へと変化していったことがわかった。また言説データとして、選手宣誓に関する新聞報道記事を時系列的に整理し、世論の出発点となるメディアがどのようにコメントしているのかを探った。さらには、元宣誓選手へのインタビューを文字化し、そして整理することによって、1980年代にどのような意識変化があったのかを跡付けた。以上のことを総合的にまとめ、その背景となるものを考察した論文を発表した。そこでは、日本人の価値意識が「競争」から「共生」へと変化していったことがわかった。また、時代を代表する4つの選手宣誓を刺激音声として、現代の若者世代がどのような好感度を示すかという関心から、選好度を問うアンケート調査を実施した。これは文の長さ、内容、パラ言語などを考慮して選択したものである。その結果、宣誓文としての「型」をある程度保ち、かつパラ言語面では自然な声質で行われるものが支持されることがわかった。 本研究全体を通じて、戦後日本人の価値観変容が高校野球の選手宣誓に如実に表れており、それがこれからの日本人を探るための貴重な資料となり得ることが確認できた。今後、スポーツ一般へ、さらには言語行動一般へと広げ、広い視野からより客観的に考察することが課題となる。
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Research Products
(3 results)