2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本語形容詞・形容動詞データベース作成とそれに基づく計量分析および語構成史の研究
Project/Area Number |
19520407
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Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
村田 菜穂子 Osaka International College, 家政科, 准教授 (60280062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 俊彦 大阪国際大学短期大学部, 家政科, 教授 (60290318)
前川 武 大阪国際大学短期大学部, 国際文化学科, 准教授 (30238844)
石川 高行 大阪国際大学, 経営情報学部, 講師 (70388651)
蜂矢 真郷 大阪大学, 文学研究科, 教授 (20156350)
山崎 誠 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門・第1領域, 領域長 (30182489)
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Keywords | 国語学 / 語彙 / 形容詞 / 形容動詞 / 語構成史 |
Research Abstract |
平成19年度は、保元物語・平治物語・平家物語から形谷詞を採取する作業を行い、抽出した各見出し語の認定についての検討および用例数の再点検を行うとともに、軍記物語で新たに採取された形容詞については造語形式や結合タイプ・副次結合の度合い等の語構成論的分析を行い、既存のデータベースへの増補を行った。そして、これに基づき、『軍記物語の形容詞対照語彙表』を作成し公表を行った(大阪国際大学『国際研究論叢』21-3)。 また一方で、これまで取り上げてきた上代形容詞および中古形容詞(古代語形容詞)について、さらに以下のような計量的分析を行い、これらの実態の考察を深めた。 1.いわゆる単純形容詞(第一次形容詞)が複合や派生によって二次的に合成形容詞(第二次形容詞)を形成する条件として、(1)語の新旧、(2)使用頻度の高低、(3)使用範囲の広狭といった観点がどのように関わるかを分析した。 2.その結果、次のような点が明らかになった。 (1)成立の新しい第一次形容詞よりも、成立の古い第一次形容詞の方が第二次形容詞を合成しやすい。(2)使用頻度の低い第一次形容詞よりも、使用頻度の高い第一次形容詞の方が第二次形容詞を合成しやすい。(3)使用範囲の狭い第一次形容詞よりも、使用範囲の広い第一次形容詞の方が第二次形容詞を合成しやすい。 3.中古形容詞の使用のされ方において、中古散文22作品の中でどのような類似性が見られるかについて、見出し語の各作品での使用率に注目し、この見出し語の使用率を基に、中古散文22作品の異なる2作品間の類似度をすべて測定し、相互の関係を図示することを試みた。その結果、相互に高い類似度を示すグループがいくつか存在することなどがわかった。
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