2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19520409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅川 照夫 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 教授 (50101522)
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Keywords | 拡張 / 構文論 / 語彙意味 |
Research Abstract |
本研究のテーマにかかわる語彙意味論、談話文法、認知文法、生成文法の成果を、動的文法理論の枠組みで再考し、新たな視点で研究をまとめた。今年度取り組んだ構文は(1)中間構文(This book sells well.)、(2)[out NP]構文(He went out the window.)、(3)[sleep away]構文(He slept his hangover a way.)の3種である。中間構文は能格動詞が圧倒的多数を占めることから、まず能格動詞の意味を物質名詞を定義する意味特性から定義し直し、能格構文の意味を新たな視点から捉えた。その結果、中間構文は能格動詞構文の一変種として派生され、基本となる状態変化動詞から各種の動詞群へと派生を繰り返し、実に複雑なネットワークを構成するようになったと考えるべきであることが分かった。次の[out NP]構文は、目的語が窓やドアなどの出入り口に限られるという極めて特殊な制限を持つが(*He went out the room.)、この制限は、通路を表す前置詞全般の意味から自然に派生されるものであり、同じような特徴がin, through, down, upにもあることを発見したことによって、基本形式をどう捉えるかがこの構文の本質解明の鍵であることが分かった。[sleep away]構文は自動詞が他動詞に転換する構文の一種で、これも[take NP away]構文から派生的に導き出される構文であることを、多くの事例を以って示すことができた。以上、3種類の構文の考察結果から、英語には1つの構文について多くの変種があるけれども、基本構文を基にして派生的に文法に導入されるという視点から追及すれば、その統語的・意味的性質について更に深い洞察が得られることが明らかになったと言える。
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