2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520411
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
富澤 直人 Yamagata University, 人文学部, 准教授 (40227616)
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Keywords | 否定極性表現 / 介在効果 / 下方含意 / 派生的モデル / negative polarity items |
Research Abstract |
否定極性表現(NPI)の認可及び「介在効果」に関して、(1)NPIとその認可子との間の構造上の局所性はNPIの特性を直接に反映したものではなく、移動現象が一般に持つ統語特性であることと、(2)NPIの認可子はNEGであり、両者はEarliness Principleによって派生の初期段階でマージし、その後、認可子が単独で移動することができるとする作業仮設に基づき、(1)NEG移動が起こる段階、(2)介在する数量子がもたらすNEG移動への影響、(3)NEG移動と統語構造との関係を中心に研究を行った。 まず、NEG移動は健在移動であり、この特性から等位接続項や付加詞の内部にNPIが発生しない事実が導出される。これが、NPIそのものの移動ではなく、音声内容を持たないNEGが顕在移動を行う所以である。また、下接条件分析の反例と扱われることのある、関係節内のNPIの適格性は、関係節の特性に基づく説明を試みている。 介在する数量詞がもたらすNEG移動への影響については、認可子NEGが数量詞としてdefectiveであり、数量詞としての力を十分に持っていないため、独立した数量詞が構造上の所定の位置にある場合、その数量詞によって捕らえられてしまうことによると論じる。 この枠組みでは、認可子としてのNEGはNPIのいわばスコープマーカーとして機能することになり、疑問詞に対するスコープマーカー、DPに対するスコープマーカーthereと同様、初期認可の派生モデルと特徴を共有する。この側面をさらに掘り下げ、自然言語におけるスコープマーカー的要素の存在の一般性を調査し、stage level述語とindividuallevel述語を用いた日本語の主部内在型関係節の可否が同構文の統語構造上の差とトピックマーカーの存在の可否から導出できることを論じた。
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Research Products
(1 results)