2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520412
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡崎 正男 Ibaraki University, 人文学部, 准教授 (30233315)
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Keywords | 詩の韻律 / 最適性理論 / 制約 / 規則 / stress maximum / loose iambics / 言語理論 / インターフェイス |
Research Abstract |
平成20年度は、Emily Dickinsonの詩の形式を中心に、詩の韻律構造に関する制約を提案するため、事実調査を続行した。Dickinsonの詩に関しては、Franklin版のテキストをもとに、草稿の異同も参照しながら、韻律構造の事実観察にもとづきデータを積み重ねた。事実観察を補強する意味で、19世紀以降のいわゆるアメリカ自由詩の事実観察も進めた。具体的には、William Carlos Williamsの詩のリズムの事実観察を進め、データを積み重ねた。 事実観察と同時に、言語理論からの視点から構築された最新の韻律論の文献も渉猟し、その理論により、主たる研究にしているDickinsonの詩の韻律構造を捉えるために有用か否か検証する作業も進めた。具体的には、Dresher他編のFormal Approaches to Poetryにある諸論文において提案された知見、それと、Fabb and Halle, Meter in Poetry : A New Theoryにおいて提案された理論、および, 言語学関連雑誌に発表された言語理論の視点からの韻律論の論考(複数)における知見、がDickinsonの詩の韻律構造の説明に応用可能か否か、詳細に検討した。 事実調査と文献渉猟の結果、Emily Dickinsonの詩は、民謡の歌詞に似て、1行ごとに別々の制約に従っている可能性がきわめて強く、Fabb and Halleの理論のように、規則による説明ではうまく特徴を捉えられない可能性が強いことが明らかになった。過去2年間の事実観察と文献渉猟の結果を、平成21年度に報告書にまとめる予定である。
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