2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520415
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
仁科 弘之 Saitama University, 教養学部, 教授 (20125777)
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Keywords | 意味認知 / 身体動詞 / 文法の身体化 / モデル評価 / 様相述語論理 |
Research Abstract |
意味論研究者にとって,この20年間の脳科学研究の成果のなかでミラーニューロンの発見は極めて刺激的である。自らは運動せずに,運動する者を観察する本人の運動前野において,当該部位て(口,手,足等)を司る部位に発火活動があることが指摘され始めており,この部位をミラー、ニューロン系とよぶ。 本研究では,この発見をある程度理論に反映した意味る解釈、生成モデルの構築を模索している。これまで,申請者は運動動詞の意味論を身体の当該部位の動きを様相論理で記述することで,その動詞の外延的意味を記述する研究を行ってきた。今回の研究では,(1)これを改版し,ミラー、ニューロンの活動を前提にした意味モデル(2)を構築できる可能性をさぐっている。結果は,曖昧ではあるものの肯定的のようである。同一世界で評価される式をその世界が表す関節の支持する全ての活動関節である」と改編することで,)全称量化子と存在量化子を以前の枠組み(の下では存在量化のみであった)よりも明確に差異化したモデルが定義できることが明らかになった。しかし,実際の運動記述において,新しい枠組みの方が記述的妥当性において優れているのかどうかは,例をさらに調べないと明らかでない。しかし,理論的には様相述語論理の定義をみたす枠組みがえられた。 (2)本枠組みはモデル意味論を採用しており,身体動詞のミクロ的な外延記述は,使役構造を認める限り,現時点の脳科学のデータとは矛盾しないであろうとの見通しがえられた (3)形式意味論では意味モデルに基づいて論理式の評価が行われるが,この評価に相当するものが実際るに脳内に表象されるのか,あるいはそれが含む幾つかのステップがバイパスされるのかを理論的に検証するために,特化した複数の意味モデルを提案しそれらの得失を比較する予定である。
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