2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520415
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
仁科 弘之 Saitama University, 教養学部, 教授 (20125777)
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Keywords | 運動動詞 / 生物意味論 / ミラーニューロン / 述語論理 / 一般量化子 / 動詞句内主語仮説 / 意味解釈 |
Research Abstract |
近年fMRIを活用した言語脳科学の知見が入手可能になり、脳内の言語情報処理データを言語理論で用いることが可能となってきた。このような環境下で生物学的意味論のキックオフ会議が-昨年秋ライデン大学で開催された[『生物意味論ワークショップ』]。ここで自説を公表し、肯定的なコメントを得ることができた。内容は次の通りである。 運動する他者を見る観察者は、自らは運動しないままで脳の運動前野において、口、手、足等を司る脳部位に発火活動があることが発見され、これはミラー・ニューロン系(MN)と上ばれている。この脳科学データをモデル解釈に導入する可能性を形式意味の枠組みで考察した。 (i)論理式の評価は形式的モデルに基づく。(ii)動作動詞の意味解釈モデルを解釈者自体の身体であると仮定。(iii)更に動詞句内主語説を採用。 すると、言語の脳データに基づいた運動動詞の意味解釈過程の記述が次のように可能になる。 文が与えられると、解釈者は主語は不定のままに保ちつつ、運動動詞部分には自らの身体の運動感覚のシミュレーションをもちいて、その動詞意味の理解のために運動皮質も援用する(VP主語の段階時)。その運動をどの特定個人が行ったかについては、(主語が繰り上げられ時制を命題を獲得した段階で、その主語の特定性(が必要な時には)の個体情報が要求されるので、)通常の個体の(意味)情報の処理を司る部位と、それを動詞経由で述語の引数にとり命題計算を行う際にもちいる通常の言語中枢内の部位との連携により、意味解釈が行われるという仮定である。この可能性を数量詞を主語に含む量化文解釈の場合と比較した。
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