2008 Fiscal Year Annual Research Report
大規模コーパスを用いたメタファーの創造的概念形成メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
19520422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 文子 Osaka University, 言語文化研究科, 准教授 (70213866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化研究科, 教授 (30191787)
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Keywords | 認知言語学 / 概念メタファー / 写像 / コーパス / 感情表現 / 自然現象用語 / 英語イディオム / 動物比喩 |
Research Abstract |
思考を司る概念メタファーを具現化する表現例を大規模コーパスから収集、分析することにより、抽象的概念領域を具体的概念領域からのメタファー写像により理解する人間の創造的概念形成メカニズムの解明を目指すという本研究課題を遂行するため、本年度は、昨年度に引き続き、大型コーパスBritish National Corpusを主たる調査対象とし、新聞コーパスThe Times Digital Archive1785-1985や英訳聖書コーパスThe Bible in English (Chadwyck-Healey)、各種辞典類を援用し研究した。認知言語学において感情メタファーに関する研究の第一人者として知られるZoltan Kovecsesの、最も強力な感情メタファーと感情のプロトタイプに関する主張を批判し、「自然現象用語+of+感情用語」のパタンをなす表現のコーパスデータに基づき、感情を表すメタファーは<自然現象>をその根源領域とする頻度が最も高いこと、自然現象の中でも海や河川などの<大量の動く水>がメタファーに用いられるケースが最も多いことを示し、新たな認知モデルを提示した。本研究成果は世界の著名な研究者の最新成果が掲載される国際的メタファー研究総合誌Metaphor and Symbolに掲載された。また、研究分担者と数年来続けている動物メタファーに関する共同研究の一環として、動物寓意詩を認知的に分析するとともに、英語イディオムにおける動物比喩義に関する体系的分析を行った。共同研究者からは、英語イディオムに関する通史的知見および伝統的文献資料の提供を受けた。
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