2008 Fiscal Year Annual Research Report
動詞由来接続表現の文法化についての対照言語学・社会言語学的観点からのコーパス研究
Project/Area Number |
19520428
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
内田 充美 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 准教授 (70347475)
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Keywords | 言語学(英語学) / フランス語 / 対照言語学 / コーパス / 文法化 / 言語変化 |
Research Abstract |
本研究は,英語の接続表現(前置詞・接続詞)のうち,動詞に由来するものを研究対象としている.それらの英語接続表現のうちの多くは,発達過程において何らかの形でフランス語の影響を受けてきている.このため,現代英語と現代フランス語には,少なくとも見かけ上はよく対応するような表現の対が多く存在する. 両言語に存在する表現で,見かけ上似ていても意味が異なる場合,単語レベルでは「偽りの友faux amis」と呼ばれ,学習者にとって注意が必要であることはよく知られている.この研究が着目する接続表現の場合は,それらの表現が表しうる意味の特徴だけではなく,補語として取りうる要素の統語的性質や,接続された2要素の相対的関係などの点でも,両言語間での差が観察できる. 今年度は,動詞に由来する接続表現のうち,特に「除外」を表すものに焦点を絞って調査・研究を行った.具体的には,英語の前置詞exceptで表されるような意味的関係である.現代フランス語では,英語のsaving[save]にあたるsauf最も一般的な接続表現として定着しているが,英語にもフランス語にも,同様の意味を表す表現形式が他にも存在する. 調査の対象とした材料は主として,フランスの政治雑誌Le Monde Diplomatique(以下LMDと記す)の本文である. LMD英語版が発刊されたのは1996年であるが,これは英語が世界の共通語としての地位を強固にしてきた社会的背景を反映していると言える. 本研究では,多言語版記事を収めたDVDと, LMDがインターネットのウェブサイト上で公開している資料を用いて,調査・分析を行った.英語とフランス語の文章データを対照的に分析した結果,英語のexceptが展開しつつある統語的制約の弱化,意味面での拡張がフランス語のsaufには観察されにくく,別の表現手段が用いられる傾向があることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)