2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミニマリストプログラムにおける英語の前置詞句の統語的・意味的研究
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19520430
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 英一 Dokkyo University, 外国語学部, 教授 (30004071)
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Keywords | 前置詞 / 前置詞句 / 複合前置詞 / 範疇選択 / 意味選択 / 従位接続詞 / 一般意味役割 / マクロ主題役 |
Research Abstract |
2年目の平成20年度は,初年度の研究とJackendoff(1990)Semantic StructuresやSchweikert(2005)The Order of Prepositional Phrases in the Structure of the Clauseなどの生成文法の研究を踏まえ,前置詞句の意味解釈方法と前置詞句の生起位置という二つの課題を中心に研究を推進した. 前置詞句の意味解釈の方法については,前年度の研究から,名詞句の主題役(意味役割)を決定するために必要となる意味概念の場合と同じく,可能な限り大きな意味概念(マクロ意味概念)が有効であるという見通しのもとで,withとbyを主要部とする前置詞句を詳細に検討した結果,with前置詞句とby前置詞句が表す「動作主(行為者)」「随伴者」「道具」「手段」「位置」などの代表的な意味解釈を決定するためには,大きな意味概念がより一般的に前置詞句の意味解釈に有効であることが確認された. 前置詞句が文中で生ずる位置に関しては,文頭と文末の位置における生起可能性を検討した結果,文頭は文末に比べ生起可能性の制限がより強く,複数の前置詞句が文頭に生ずることは一般には困難であること,また,単一の前置詞句が生ずる場合も談話の流れを考慮した情報構造特に話題提示という機能や作用域が関わることが明らかになった.さらに,文末の位置に関しては,文頭と較べると,複数の前置詞句が生起することがかなり自由であるが,複数の前置詞句が生ずる順序は少なくとも三つの要因,(1)述語動詞との選択関係・親疎関係,(2)出来事を記述する際の前置詞句の内容の作用域,(3)情報構造特に焦点化ということが関わっていることが明らかになった.
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