2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミニマリストプログラムにおける英語の前置詞句の統語的・意味的研究
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19520430
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 英一 Dokkyo University, 外国語学部, 教授 (30004071)
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Keywords | 前置詞 / 前置詞句 / 共起制限 / プロト意味概念 / 比喩的拡張 / 特性構造(Qualia Structure) / 形式特性(formal qualia) / 目的特性(telic qualia) |
Research Abstract |
最終年度の本年度は,先行研究と本研究の過去2年間の研究成果を踏まえ,前置詞句の生起可能性,共起制限,可能な意味解釈という問題を中心に研究を行い,次のような成果を得た. (1) 前置詞句と述語動詞との共起制限を説明するためには,かなり細かな意味概念が必要であり,特に,前置詞句の表す意味としては,状態・属性・様態・手段・道具・行為者・時間・期間・頻度・機会・場所(近接・遠隔・接触・非接触地点)・方向(着点・起点)・経路・原因・理由という意味が重要である. (2) 次に,前置詞句が表す上記のような意味内容は,前置詞とその目的語の名詞句から得られるが,前置詞の意味として,Lindstromberg(1998)が主張する<場所>と<時間>というプロト意味概念に<手段>というプロト意味概念を加え,そのうえで,比喩的拡張(metaphorical extension)によって前置詞の多様な意味を説明することができる. (3)前置詞の目的語の名詞句の主要部である名詞の意味は,Pustejovsky(1995)The Generative Lexiconで提案されている特性構造(Qualia Structure)特に形式特性(formmal qualia)と目的特性(telic qualia)を用いて得られる意味特性を用いて分析する必要があり,この分析によって得られる名詞の意味特徴を用いることによって,前置詞句全体の意味をより適切に与えることが可能になる. (4)ミニマリストプログラムにおける,前置詞句における前置詞と名詞句の融合(共起)が適格なものであるか否か,前置詞句がその文において適格に用いられているか否かという問題の説明は,前置詞と名詞句の意味を考慮した上で,概念・意図系とのインターフェースで照合されるべきである.
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