2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520432
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高見 健一 Gakushuin University, 文学部, 教授 (70154903)
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Keywords | 英語学 / 機能的構文論 / 形式と意味 / 倒置 / 使役構文 / 否定 / 一致 / 数量詞 |
Research Abstract |
研究課題の形式と意味のミスマッチを示す構文として、平成21年度は、まず英語の主語と動詞の一致に関してミスマッチが生じる現象-集合名詞、none/neither/all/any等、形と意味の不一致、themselfの用法など-を昨年度からの継続で考察し、原稿をまとあて久野氏と共著で『謎解きの英文法-単数か複数か』(くろしお出版)を出版した。この研究に関しても、英語母語話者からこれまでに指摘されていない興味深い例を多く収集し、主語と動詞の一致、名詞の数などに関する形と意味のズレを明確に示し、それを説明することができた。 また、日本語で「何を文句を言ってるの?」のように、「何を」が目的語ではなく、「なぜ、どうして」という意味で用いられ、「何を」の形と意味がミスマッチを示す構文があるが、この構文がどのような条件のもとで用いられるかを考察した。そしてこの現象は、従来主張されてきた非対格性や「否定の島」のような統語的要因に依存するものではなく、意味的、機能的要因に依存していることを主張し、「日本語文法』第10巻第1号に発表した。 さらに、本研究課題の当初から行なってきた使役文、否定文に関して、「使役構文をめぐって」、「Cause使役文の意味」、「否定極性への機能論的アプローチ」という3つの論文を仕上げ、これらは平成22年度に刊行が予定されている。また、これまで考察を進めてきた日本語の数量詞遊離と英語の場所句倒置構文に関しても、現在、論文を執筆中で、本研究の研究期間内に完成する予定である。
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