2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520432
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高見 健一 学習院大学, 文学部, 教授 (70154903)
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Keywords | 英語学 / 機能的構文論 / 形式と意味 / 受身 / 使役 / 否定 / 数量詞 / 情報構造 |
Research Abstract |
研究課題の形式と意味のミスマッチを示す構文として、研究最終年度の平成22年度は、日英語の受身文と使役文の研究をまとめ、本として出版するための原稿を完成した。そして、多くの例文を観察することによって、両構文のメカニズムや適格性を決定づけている意味的・機能的要因を明らかにし、これらの構文に関する日英語の違いを明確に示すことができた。この原稿は、平成23年6月に開拓社より『受身と使役-その意味規則を探る』というタイトルで出版が予定されている。 平成22年度はさらに、日本語の数量詞遊離に関して多くの新しいデータを見つけ、生成文法による統語論的アプローチでは十分な説明ができず、意味的・機能的分析の妥当性が検証できたので、このテーマに関して英語で論文を書き("Remarks on Numeral Quantifier Float in Japanese")、海外のジャーナルに平成23年3月に投稿した。数量詞遊離現象の適格性を決定づけている要因が、統語的要因のc統御や局所性という概念ではなく、文の情報構造や情報の新旧、さらに、私たちの語用論的知識や概念体系であることを提唱できたことは、大きな意義があったと考えられる。 さらに、本研究課題の当初から行なってきた使役文、否定文、英語の数と呼応に関して、「Cause使役文の意味」、「否定極性への機能論的アプローチ」、「否定文」という3つの論文を発表し、4つの招待講演を行なった。また、「文の情報構造-省略、後置文、数量詞遊離を通して-」という論文を書き、日英語の文の情報構造がどのような仕組みになっているかを、省略、後置文、数量詞遊離の3つの現象を通して考察した。この論文は、語用論研究の本のひとつの章として出版が予定されている。
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