2007 Fiscal Year Annual Research Report
行為指示型発話行為とその応答における配慮表現の体系的記述と日本語教育への応用
Project/Area Number |
19520443
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
姫野 伴子 Saitama University, 国際交流センター, 教授 (00228751)
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Keywords | 言語学 / 日本語学 / 日本語教育 / 日本語教材 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は行為指示型発話行為およびその応答の表現を分析、記述し,日本語教育のために具体的提言を行おうとするものだが,初年度は,分析、記述の基礎となる用例、データ収集を行うことに努めた。 まず,ドラマ、小説、脚本等の会話文から行為指示型表現、応答表現の用例を収集した。次に,パイロット調査として,日本語学習者20名を対象とした行為指示に関する談話完成テスト、アンケートを実施し,学習者が十分に習得していない,または困難を感じている行為指示型発話行為および応答行為を調査した。さらに,学習者の使用傾向と対比するため,日本語母語話者10名を対象とした行為指示に関する談話完成テスト、アンケートにより,母語話者が行為指示型発話行為および応答行為を行う場合に,どのような配慮をし,どのような表現形式を用いるのか,機能ごとに談話型、表現形式を調査した。最後に,日本語教科書,特に海外で使用されている教科書5種10冊を対象として行為指示型発話行為がどのように扱われているか調査を開始した。 今年度実施分だけでは用例数,調査対象数が不十分であるため,次年度も用例収集,学習者調査,母語話者調査,教科書調査を継続する。それらの結果を踏まえて,データベースを構築する。 最終的には,現代日本語において依頼、勧め、勧誘、命令などの行為指示型表現およびそれら発話行為への応答表現がどのような体系をなしているかを記述し,日本語学習者が配慮に欠けた(と母語話者に判断される)日本語表現によって不利益を被ることのないよう,日本語教育を整備するため,その形式と機能を日本語教育でどのように扱うべきかについて,できるだけ具体的な提言を行う。
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