2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520444
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小出 慶一 Saitama University, 教養学部, 教授 (60178192)
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Keywords | フィラー / フィラー化 / 意味拡張 / まあ / なんか / あのー / えー / えーと |
Research Abstract |
平成19年度は、本研究で出力系フィラーと呼ぶものを中心に検討を行った。 まず、文献を収集し、フィラーについての操作的な規定を検討した。 次に、各種の調査報告、および「日本語会話データベース」(北九州市立大学)におけるフィラーの使用頻度の調査を行い、頻度の高い9つのフィラーを特定し、分析対象として選定し、「日本語会話データベース」の用例調査を行った。 その際、他品詞からの派生のいかんによって、専用系と派生系に区分して機能を検討した。前者は「えー」「えーと」、後者は「あのー」「そのー」「このー」「こう」「まあ」「もう」「なんか」である。 その結果、次のような点を見出すことができた。概括的に言えば、専用系のフィラーは、発話内容形成のためのスペース確保というところにその機能の中心がある。それに対して、派生系のフィラーについては、「あのー」などの指示詞に由来するものは、発話内容の源泉だどこにあるかの標示、モダリティ副詞に由来するものは、発話内容に対する話し手の姿勢の標示というように、もとの語の性格を保持していること、さらにフィラーへの派生を促す要因として、対話におけるポライトネスへの配慮など社会的な要因が働いていることを見出した。 これまで、個別的なフィラーの記述はいくつか行ねれてきたが、体系化への見通しを持って行われた記述の嚆矢となるという点に、この研究の意義があると考えている。 なお、これらの研究成果は埼玉大学大学院文化科学研究科における学位論文「現代日本語における語の意味・用法の広がり」のー部としてまとめられた。
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Research Products
(3 results)