2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520444
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小出 慶一 Saitama University, 教養学部, 教授 (60178192)
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Keywords | フィラー / 話しことば / 発話行動 |
Research Abstract |
本研究では、出現頻度の高い日本語のフィラー「あのー」「そのー」「このー」「こう」「まあ」「もう」「なんか」「で」「えーと」「えー」及び母音延引形フィラーについて、話し言葉コーパスを利用するなどして、出現実態を調査し、それぞれのフィラーが談話行動においてどのような役割を果たしているかを記述した。また、フィラーには、指示詞、副詞などから派生したものと、フィラー専用のものがあるが、それぞれに異なる役割を持つことも明らかにした。 また、フィラーは談話の中で次のようなレベルに関わっていると考えられる。 α.発話行動も含めた行動の調整 β.談話運営の調整 γ.発話内容にかかわる話し手の意識 これをさらに、ヒトの行動一般と言う観点から見ると、フィラーは、言語行動、非言語行動を含めて、主たる行動に随伴するものであり、かつまた、3次的随伴として位置づけられるように思われる。 本研究の意味は、多くのフィラーについて統一的な観点から検討を行った点、また、自然発話コーパスのデータによって検討を行った点である。その結果、これまで談話管理、談話処理という観点のみで扱われていたフィラーを、ヒトの行動一般との関係へ位置付ける糸口が見出された。 今後、本研究の妥当性を考えるために、話し言葉コーパスの充実とともに、独り語とデータなど、現在得られていないタイプのデータ収集が模索される必要がある。また、他言語との比較も有効であると予想される。
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Research Products
(2 results)