2008 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語習得の「学習者セオリー」に関するライフストーリー研究
Project/Area Number |
19520447
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
海野 多枝 Tokyo University of Foreign Studies, 外国語学部, 准教授 (00251562)
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Keywords | 第二言語習得 / 学習者セオリー / ライフストーリー・インタビュー / アイデンティティー |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本に在住する外国人の第二言語習得を「学習者セオリー」という視点からとらえ、その特徴と形成過程を記述し、第二言語環境における第二言語習得過程との関係を明らかにすることである。この目的に向けて、ライフストーリー・インタビューの手法を用い、まずは対象となる日本語学習者の第二言語習得履歴とその学習者セオリーを総合的に記述し、相互の関係を明らかにするとともに、その形成過程に考察を加える。また、可能な限り言語運用データも合わせて収集・分析し、これらを総合して第二言語習得との関係について考察したい。本研究の独創性は、第二言語習得と学習者セオリーの関係を焦点化し、ライフストーリー・インタビューの手法を用いている点にある。 以上の目的に向けて平成19年度には先行研究のレビューとパイロット調査を行い、これらに基づいて方法論を精緻化した。平成20年度は、精緻化した方法に基づき、第二言語習得環境で学んでいる日本語学習者30名を対象に、学習者セオリー及びライフストーリーについてのインタビューを実施した。インタビューデータは録音し、文字化・電子化した。また、その一部について、質的・発見的分析手法を用いた初期的分析にかけ、学習者の語りに現れる第二言語習得についてのライフストーリーの記述を行い、その結果を学会で発表した。また、この分析に基づいて、さらに調査する項目を検討した。これと平行して、学習者の言語運用についてのデータも収集した。学習者が「母語と異なる(適切に振舞うのが難しい)」と強く意識している言語行動について、具体的な場面を設定し、ディスコースコンプリーションタスクを用いて、データを収集し、フォローアップインタビューによって行動の意図、自己評価のデータも合わせて収集した。これらの成果を基盤として、今後の研究を進めていく所存である。
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