2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習者および日本語母語話者の文章表現における「視点形成」に関する研究
Project/Area Number |
19520467
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Research Institution | Tokoha Gakuen University |
Principal Investigator |
坂本 勝信 Tokoha Gakuen University, 外国語学部, 講師 (40387501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
康 鳳麗 常葉学園大学, 鍼灸学部, 講師 (30399034)
森脇 健夫 常葉学園大学, 教育学部, 教授 (20174469)
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Keywords | 文章表現 / 日本語学習者 / 日本語母語話者 / 視点形成 / 視座 / 注視点 |
Research Abstract |
本年度は、先行研究の結果に基づき、日本語学習者および、日本語母語話者を対象に「視点・視点形成の実態」を調査した。具体的には、国内の英語・中国語を母語とする日本語学習者37名分をNZ大学、Y言語文化研究所等にて、海外の学習者118名分を中国のT師範大学、米国のT大学等にて収集した。また、低・中・高学年の日本人児童92名分をN付属小学校等にて、日本人大学生46名分をT学園大学にて収集した。以上のデータのうち、小学校中学年児童17名と日本人大学生46名分について分析、考察を行った。 主な研究成果は、次の通りである。 坂本(2005)は、日本語学習者は、日本語レベル上昇に伴い、視座の統一度も上がると述べている。本研究では、母語習得においても同様の現象が起こりうるという仮説を立て検証した。また、学習者への「視座統一」の指導法を探る際の参考にすべく、主人公になりきって文章を描写する作業を課し、視座統一度の変化を探った。 調査、分析方法だが、10コマ漫画(登場人物3名)を見せ、まず、物語の内容を人に伝えるように、次に、主人公になったつもりで筆記にてストーリー・テリングさせた。 調査結果と考察は、次の二点にまとめられる。1)中学年児童も日本人大学生も「主人公のみ」の視座から描写する割合は約40%で、両者に差はなく、仮説は支持されなかった。この要因には幼いころからの読書をはじめとする「視座」に関するインプットの影響があり、小学校中学年には大学生並みの視座統一がなされると推察される。2)主人公になりきって書くよう指示した場合、中学年児童が約8割、日本人大学生が約9割「主人公のみ」の視座から描写し、単なるストーリー描写の場合より大幅に視座統一の度合いが進んだ。これから日本語母語話者には視座を固定させるための指示が有効であると判明した。 以上の研究成果は、日本語教育学会研究集会(関西大会)にて発表した。
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Research Products
(23 results)