2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習者および日本語母語話者の文章表現における「視点形成」に関する研究
Project/Area Number |
19520467
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Research Institution | Tokoha Gakuen University |
Principal Investigator |
坂本 勝信 Tokoha Gakuen University, 外国語学部, 講師 (40387501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
康 鳳麗 鈴鹿医療科学大学, 鍼灸学部, 講師 (30399034)
森脇 健夫 三重大学, 教育学部, 教授 (20174469)
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Keywords | 視点 / 視座 / 構文的手がかり / 視座の統一度 |
Research Abstract |
本年度は、「日本語学習者は、日本語レベル上昇に伴い、視座の統一度も上がる」という先行研究(坂本2005)の主張をもとに、同現象が母語習得においても起こりうるという仮説を立て、日本人児童(低・中・高)及び、日本人大学生を対象に検証した。同様に、海外の中国語母語話者(中級前期・後期)について、横断的、縦断的に実態を調査した。さらに、国内の中国語母語話者、国内外の英語母語話者(共に中・上級)の視座統一度の実態を日本語母語話者との比較を通して、明らかにした。 調査方法だが、10コマ漫画を見せ、まず、物語の内容を人に伝えるように(自由視座)、次に、主人公になりきって(固定視座)、筆記にてストーリーテリングさせた。 主な調査結果と考察は、次の通りである。まず自由視座について述べる。1、小学2年生の「主人公のみ」からの描写割合は、4、5年生、大学生(各約40%)に比して低くなく、仮説は支持されなかった。周囲のインプットが要因にあるのではないかと推察される。2、海外の中国語母語話者について、横断的調査では、「主人公のみ」からの描写割合は、中級前期が3.8%、同後期が9.7%と日本語母語話者と比べ、大変低い値であった。ただし、同割合は日本語レベル上昇に伴い、上がっており、仮説を支持する結果となった。また、縦断的調査でも同様の現象が観察された。3、国内、海外の英語母語話者、及び、国内の中国語母語話者の同割合は、約20%と、日本語母語話者の約半分であった。次に、固定視座について述べる。1、日本語母語話者は約80%から90%が「主人公のみ」の視座から描写していた。2、海外の中国語母語話者は、中級前期・後期とも40%台後半であり、日本語母語話者を大きく下回ったため、視座を固定させるための練習が必要であると考えられる。 以上の研究成果の一部を日本語教育学会研究集会第10回、および、常葉学園大学研究紀要第25巻(外国語学部)にて発表した。
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[Book] 日語會話進階2008
Author(s)
●3坂本勝信, 萩野智子, 野田静穂
Total Pages
1-97
Publisher
南開大学出版社/天津電子出版社