2007 Fiscal Year Annual Research Report
「リスニングストレス」の理解阻害効果の解明とその対処方略の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19520473
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野呂 徳治 Hirosaki University, 教育学部, 准教授 (90344580)
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Keywords | リスニング / ストレス / 不安 / 理解阻害効果 / 対処方略 / 英語 / 第二言語習得 / 外国語学習 |
Research Abstract |
本研究は,従来,第二言語/外国語リスニングにおいて学習者要因の一つとして認められていた「リスニング不安」に代わる情意変数として筆者が心理的ストレス理論を援用して概念構成をおこなった「リスニングストレス」の生起のメカニズムを理論的根拠に,外国語としての英語のリスニングにおけるその理解阻害効果を明らかにし,その対処方略の開発を試みようとするものである。 研究初年度の平成19年度は,心理的ストレスが一般的な認知処理プロセスにどのような影響を与えるのかについての先行研究を精査し,「リスニングストレス」の理解阻害効果のメカニズムに関する理論構築と実験デザインの開発を行った。「リスニングストレス」の生起により,リスニングプロセスにおける「事実の聞き取り」,「推測」,「内容概括」,「応用・一般化」といったような異なる認知処理レベルによってその阻害効果は異なるという仮説を立て,その実証データを得るための実験デザインとして,同程度の難易度で異なる内容のリスニング材料(目標リスニング材料)を2つ用意し,その2つの間に,より難度の高いリスニング材料を挿入することで,前後の目標リスニング材料の全体的な内容理解度の違い及び異なる認知処理レベルへの影響の違いをみるという手続きを考案した。さらに,「リスニングストレス」の生起に影響を与えると考えられる条件(他者による評価,リスニングへの関わり・責任,高い自己要求水準)も要因として導入した。このデザインに基づいて,比較的強いストレスを長期にわたって経験していると推測される英語圏(米国)の大学に在籍する日本人留学生を対象に,予備的なリスニングストレス実験及びアンケート調査を実施し,その結果を分析した結果,「リスニングストレス」の高まりにより,リスニング理解度の阻害効果と,認知処理レベルによって異なる影響が観察され,本実験デザインの妥当性及び可能性が示された。
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