2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520474
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福田 浩子 Ibaraki University, 人文学部, 准教授 (60422177)
|
Keywords | 小学校の外国語活動 / 言語への気づき / 言語意識教育 / 外国語への気づき / 総合的な学習の時間 / 多言語言語意識モデル / コミュニケーション能力 / リテラシー |
Research Abstract |
本研究の目的は、言語意識教育の日本の言語教育への応用を全体のテーマとし、特にその中で日本の早期英語教育の参考にもなると思われる英国の初等学校での言語意識教育の研究・実践状況を調査して今後の日本の小学校における言語教育(英語・国語)に対する示唆をまとめることである。 平成20年度は、平成19年度に実施した英国での「言語発見プロジェクト」の調査結果を分析し、日本への示唆をまとめて発表することを目標とした。調査では、初等学校における外国語教育で多言語言語意識モデル(6言語)のプログラムが、児童、教員、保護者の3都からよい評価を受け、1言語より複数の言語を学んだほうがよいという結果が出ていること、また能力の低い児童ほど自尊感情が高まりよい結果が出ていることなどがわかった。 一方、日本では平成20年1月17日に中央教育審議会が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」を発表し、同年3月に新指導要領が公表され、小学校の外国語活動(英語を原則とする)は総合的な学習の時間とは別に高学年で年間35単位時間週1コマ相当、教科とは位置づけないことが決まった。 新学習指導要領によると、小学校の外国語活動では「コミュニケーション能力」を重視していることが伺えるが、国語ではコミュニケーション能力の記述はなく「伝え合う力」としている。コミュニケーションを目的として言語を学ぶのであれば、「言語」としての共通の基盤を築き当母語の力を外国語に活用していくことが不可欠であり、そのためには、「コミュニケーション能力」の定義を明確にした上で、国語力、英語力とコミュニケーション能力を有機的に育てていく必要がある。また、国際理解教育の観点からも、最初から英語1言語を取り上げるのではなく、多言語に触れる機会を設け、言語や文化に対する気づきを得るという段階が必要である。
|