2009 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者英語学習における認知リソース配分と情報保障機器活用
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19520478
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 宏 Tsukuba University of Technology, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (50177466)
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Keywords | 視覚障害 / 英語学習 / ワーキングメモリ / 認知リソース / 情報保障 / ICT |
Research Abstract |
本研究は情報保障技術を用いて視覚障害のある英語学習者の学習環境を適正化し、自律的英語学習を促進するための学習環境の特性を分析するものである。過年度の研究からは授業中にリアルタイムで情報保障技術を使用することの有効性と課題が明らかになった。合成音声は比較的視力のよい学生にも有効な補償手段であったが、音声による情報保障は、リーディング中もリスニングによる認知的負荷を加重することを意味する。外国語処理の自動化のレベルが低い学習者にとっては、いわゆる外国語副作用(Takano,1995)が生じやすい。このことは、認知リソースへの同時処理負荷がより高いと考えられる点字使用者では、読解課題を継時的処理方略により行う傾向が強いことにも現れていた。学習時の負荷を軽減するには、反復練習による語彙力アップと授業時における読解の並行処理負荷軽減の方略が有効と考えられた。授業の負荷軽減のために、資料の読解を授業とは切り離し、オラクラスにネット経由で読める環境を学内サーバ内に構築し、並行処理認知負荷軽減の効果を検討した。結果はオフクラス学習と反復語彙学習が、リーディングのパフォーマンスを促進することが示された。 またWason課題などの認知課題により視覚障害学生と晴眼学生の論理的処理特性を検討したが、両者に障害特性による差はなく、情報保障が適切に行われれば、時間制限を設けない認知課題では視覚障害者の場合、課題遂行上の大きな障害とはならないことが示唆された。このことからも授業中の負荷を減らすことと、オフクラスでのICT活用による自律学習が視覚障害者に適した学習法であるといえる。視覚障害者の英語運用のためのワーキングメモリの容量と認知処理能力を把握するためには、本研究の過年度の研究成果として示された2000語レベルに水準を合わせたリーディング・スパンテストのプログラムを作成した。
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Research Products
(2 results)