2008 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリ機能のシステムとして捉える言語学習機能ーそのモデルの確立と実践ー
Project/Area Number |
19520505
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
板垣 文彦 Asia University, 国際関係学部, 教授 (10203077)
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Keywords | 実験計心理学 / 教育工学 / ワーキングメモリ / 乱数生成課題 / シャドーイング |
Research Abstract |
平成20年度の研究は、これまでの英語学習グループよりも短期間に集中的な語学学習を要求される大学内の中国語学習グループを対象として、比較的学習量に影響されない語学能力の側面が乱数生成課題のどの評価値に対応するかを検討した。その結果は長期にわたる英語学習においてその成績と密接に関連していた処理効率の側面ではなく、視空間情報を用いて音声生成のステレオタイプ化を禁止するというHopping方略に対応するものであった。この知見は乱数生成課題における処理効率の意味について再考を求めるきっかけになり、この課題に特化したワーキングメモリ・モデルの精緻化を促進した。また、脳機能部位に関する検討においても新しい進展が得られた。本研究の端緒は乱数生成課題において実行系機能を反映しないと考えられていた評価値が短期的な語学成績の変動に関連すること、ならびにそれに対応する脳機能部位が存在するという知見であったが、今回、他者の意図を読み取るゲーム的なランダムキー押し課題を用いて実施した光トポグラフィーによる前頭葉の活性部位測定の結果から、該当する脳部位に有意な活性が観察された。また、同様の課題における異なる評価が言語産出に関わるブローカ野の活性に関連していることを確認した。この中国語学習グループに関する実験と、キー押しランダム生成課題に関して得られた結果は、言語学習の前提となる「語学のセンス」や「他者の意図を理解する能力」との関連を示唆する知見であるが、逆にこの側面を補う学習方法を呈示することによってこれまでのシャドーイング学習をより効率化を図ることが可能になると考えられる。
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