2008 Fiscal Year Annual Research Report
異文化体験の主観的記述を促す教材の工夫-『言語ポートフォリオ』のために
Project/Area Number |
19520508
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
姫田 麻利子 Daito Bunka University, 外国語学部, 准教授 (50318698)
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Keywords | 異文化間能力 / ポートフォリオ / 言語バイオグラフィ(言語に関する自伝) / フランス語 / カルチュラル・アウェアス / 異文化間の気づき / ジャーナル / 大学生 |
Research Abstract |
本研究は、異文化間能力のなかでも「異文化間の気づき」能力育成を目的とした教材の工夫に取り組むものである。まず、外国語教育にintercultural/interculturel概念が導入されて以来の先行研究を踏まえ、当該能力の定義をあらため(学習者の外側で実体化される目標文化と出身文化の対比的定義に即した気づきというより、学習者内で主観的に定義された両文化関係を自省/再構築していく能力である)、フランス短期留学中の日本人大学生に対し、この能力育成を目的とした日記帳型教材を提案する場合の内容を検討した。 白紙の日記が自動的に自省を促しはしないし、目標文化との直接接触が自動的にこの能力を育成するわけでもない。文化人類学的参与観察の手法、「テーマ日記」作文指導法、日本語教育におけるジャーナルアプローチを参考に、異文化体験時の主観をみつめる指示文(「つづけ書き」を求める指示)と、その主観のふり返りを促す指示文、主観を規定するものを探る指示文(「読み返し」を促す指示)を工夫した。平成19年度に行った第1回実験の結果分析を踏まえ、平成20年2月に「つづけ書き」頁、「読み返し」頁レイアウトともに改訂したジャーナルを使用した第2回実験を行い、効果を分析した。「つづけ書き」頁の「(その時私が気になった)対象までの焦点距離、私の視野」の項目について、主観のふり返りをもたらす効果が期待されたが、それが白紙自由記述欄より有効とは決定できなかった。インタビューデータをもとに、今後、さらに有効な指示文を検討したい。本研究の成果について、ヨーロッパにおける「オルタナティブ・ポートフォリオ」開発中の研究グループと意見交換を行い、今後の連携を依頼された。
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Research Products
(2 results)