Research Abstract |
予備調査1では,言語的,認知的,情意的要因が,プランニングがなく,なおかつ考える余裕がない状況における発話に与える影響について,大学生15人を被験者として調査した。その結果をAS-Unitを使って分析し,発話の長さを測った。また,実験後,被験者15人にインタビューを実施した。質問内容は,大きく分けると,言語に関する質問,認知に関する質問,情意に関する質問の3分野にわたる。例えば,言語に関する質問では,スピーキングができなかった理由は,語彙不足によるのか,言語構造をわかっていなかったためか,もしくは,そのトピックの背景知識が不足していたためかを調査した。認知に関する質問では,主にメタ認知ストラテジー,認知ストラテジーを中心にどのようなストラテジーを,タスクを行うために使用したのかを尋ねた。また,情意に関する質問では,学生がどのような動機づけを,このタスクに対してどの程度もっていたかを調査した。 予備調査1のインタビュ-結果をもとに,スピーキングを困難にしている言語的,認知的,情意的要因を調査する質問紙を作成し,社会系,人文系,理科系専攻の学生各100人,計300人に質問紙調査を行った。質問紙の質問のうち,言語的な質問項目については研究分担者の大和,認知的な質問項目については研究代表者の尾関,情意的な項目については研究分担者の廣森が中心となり作成した。 この予備調査1と予備調査2により,スピーキング力が不足しているのは,言語的な要素である「語彙不足」,「言語構造の知識不足」,「トピックについての知識不足」などが原因であると学生は考えているのか,認知的な要素である「プランニング」,「問題解決力」,「モニタリング」などが不足しているのか,もしくは,このタスクに対する動機づけが低いことが原因なのか,次年度以降にどのような点を重視して実験を行えばいいのか,ある程度判明すると考える。現在,そのデータを分析中である。
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