2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA分析に基づくイチョウの伝播と伝説に関する研究
Project/Area Number |
19520542
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 征弥 The University of Tokushima, 総合科学部, 准教授 (00274192)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬田 勝哉 武蔵大学, 人文学部, 教授 (60061412)
|
Keywords | イチョウ / DNA / 文化交流史 / 伝来 / 伝説 |
Research Abstract |
<巨樹伝説の比較>イチョウに関する伝説について『大日本老樹名木誌』に基づいて、記載の多いマツ、スギ、クスノキと比較した。マツでは「枝に何かを掛ける」という伝説が多く、スギでは天狗にまつわる伝説が多い。これらは枝を横に延ばす、高く成長するというそれぞれの特徴によるものと考えられる。イチョウに関する伝説は、乳信仰や、紅葉の時期による気象を占うというものが他の樹種にない特徴であり、やはり木そのものの特徴を反映していると言える。 <神事>11月1日に韓国の亀尾市の天然記念物のイチョウの下で行われたイチョウ祭りに参加した。朝鮮半島では、各地に自然崇拝の神事が村祭りとして行なわれているが、この地域ではこのイチョウを村の守護神としている。祭りでは樹の下にお供えをし、村人の名前を書いた紙を燃やしてその紙を上に投げて高く舞い上がれば向こう一年は幸せでいられると言われている。このように村全体でイチョウに祈るという神事は日本では見られない例である。しかし、木に縄を巡らし聖域とする点など日本との共通点もみられる。 <DNA分析>本年度は、韓国南東部10カ所11本の樹について葉の採取や調査を行った。韓国南東部は、15世紀頃日本との通商の為に開港された塩浦・釜山浦・齊浦という3つの港と、そこからソウルにのびる3つの街道が存在し、またその近くを流れる韓国最大の河川である洛東江が流れており、韓国から日本へのイチョウの伝播に深く関わりがある可能性がある。DNA分析の結果、銀杏亭×西日本タイプ1や東日本タイプ2×西日本タイプ1は街道や洛東江に沿って分布していることがわかった。これらのDNAタイプは、前者は対馬に、後者は日本全国に分布しており、イチョウの移動ルートとして興咲深い。
|
Research Products
(3 results)