2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520552
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
荻野 富士夫 Otaru University of Commerce, 商学部, 教授 (30152408)
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Keywords | 関東憲兵隊 / 暫行懲治叛徒法・治安維持法 / 憲兵司令部 / 陸軍省『調査彙報』 / 『思想彙報』 / 東条英機 / 大谷敬二郎 / 陸上自衛隊情報保全隊 |
Research Abstract |
第二年度となる本年度は、二つの研究会に参加し、主に関東憲兵隊関係の報告をおこなった。一つは、侵略史研究会で、これまでのまとめ段階に入ってきているので、『侵略の証言』の第二章第二節「「満州国」の治安体制」を執筆した。これは「1建国当初の治安体制2憲兵・警察・司法統治の進展3「治安粛正」の最終段階」という構成で、関東憲兵隊創設から解体までを論じている。 もう一つは、合作社事件(満鉄調査部事件の前史)関係者の関東憲兵隊・「満州国」検察による供述調書復刻のための研究会の発足である。はじめて詳細に検挙から司法処分の過程が明らかになり、これまでの史料収集では不分明だった分野が補完された。また、史料所蔵者の方から聴取した、憲兵関係者の戦後の生き方も、憲兵の存在を考える上で大いに示唆に富むものだった。この研究会では、「満州国」司法体制および関東憲兵隊の概観、供述調書の分析を担当している。 また、「国家と情報」についての依頼原稿の執筆にあたり、この軍・憲兵の治安機能に関わる部分を書き込むことができた。これらの公刊はいずれも、一、二年後になる。 以上のほかに、主に防衛省防衛研究所図書館において、軍・憲兵の治安機能に関する史料収集に努めた。とくに海軍関係の思想対策・教育について、新たな史料を得ることができた。 本年度に予定していた中国・吉林省梢案館での史料調査は、档案館側の史料未整理という事情のため実現できなかった。したがって、档案館編集の公刊史料を精査することで補うほかない状況である。
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