2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520554
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今泉 隆雄 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (60000501)
|
Keywords | 時刻 / 陰陽寮 / 漏刻台 / 漏刻博士 / 諸門開閉鼓 / 水落遺跡 / 時間の支配 / 暦 |
Research Abstract |
本研究は、時刻制度が国家と社会を秩序づける重要な制度であると考えることから、7〜9世紀の時刻制度について、国家と社会との関係で、その実態と歴史的意義を解明することを目的としている。その前提として当該時期の時刻関係史料の悉皆的収集が必要であり、本年度は学生アルバイト2人を雇用して、六国史などの基本的な典籍資料、正倉院文書、『平安遺文』などの古文書、木簡などから、時刻関係史料を収集し、パソコンに打ち込む作業を行った。また藤原宮・平城京跡出土木簡については、2回にわたって出張し所蔵研究機関におもむき、原物史料の調査を行った。これまでの研究は典籍史料を中心にするものであったが、今回の木簡史料の収集によって、時刻制度の実態を明らかにできる史料を見つけ出すことが出来た。例えば、飛烏出土の木簡に時刻報知の撃鼓数を記し、7世紀後半から8世紀と同様に撃鼓によって時刻を報知することが行われていたこと、藤原京跡出土木簡に官人が宮仕えすべき月日と時刻を占ったものがあることなどが明らかになった。 時刻制度の中心となる陰陽寮の官制に関して考察・検討し、陰陽寮では行政官人である頭・助・允・大属・少属の四等官の下に、天文・気象観測、暦作成、占卜、時刻報知の四分野に関する専門的技術官人が設けられ、時刻の担当は漏刻博士である。漏刻博士は守辰丁を率いて、終日漏刻の運転に当たり、鐘・大鼓を撃って京中に時刻を報知する任務を持っていることなど、陰陽寮の官制の大要について明らかにした。
|