2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520554
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今泉 隆雄 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (60000501)
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Keywords | 時刻 / 漏刻台 / 水落遺跡 / 陰陽寮 / 漏刻博士 / 諸門開閉鼓 / 時間の支配 / 暦 |
Research Abstract |
本研究は、時刻制度が国家と社会の時間を秩序立てる重要な制度であると考えられることから、日本の7~9世紀の古代の時刻制度について、国家と社会との関係で、その実態と歴史的意義を解明することを目的としている。 その前提として当該時期の時刻関係史料の悉皆的収集が必要であり、本年度は昨年度に引き続き、学生アルバイト2人を雇用して、六国史、『平安遺文』、『風土記』、『万葉集』、『日本霊異記』、木簡などから時刻関係史料を収集し、パソコンに打ち込む作業を行った。木簡史料の収集については本簡学会に出席し、新出土木簡からの史料収集に努めた。3年間の収集史料を整理して、「日本古代時刻制史料集」を作成した。これは今後の古代時刻制の研究の基礎になるものである。 飛鳥の水落遺跡(奈良県明日香村)は『日本書紀』に660年に建造されたとある漏刻台の遺跡であるが、この遺跡と収集した文献史料から、日本古代の漏刻台の構造を明らかにした。 漏刻の運転に当たった陰陽寮の官制について検討し、行政官である頭・助・允・大属・少属の四等官、その下で天文・気象観測、暦作成、占卜、時刻報知の分野を担当する専門的技術官のそれぞれについて考察し、特に時刻担当の漏刻博士についてその性格と職務について明らかにし、さらにこれら官制の成立過程について考察した。 時刻制施行の実態に関して、飛鳥石神遺跡出土木簡から、すでに7世紀から8世紀以降と同じく、漏刻台の太鼓の打数によって時刻報知が行われていたことが明らかになった。 3年間の研究を整理し、漏刻台の構造、陰陽寮の官制、漏刻博士による漏刻運転の実態、古代社会における都城と地方における時刻報知の実態などの諸点に関してまとめた。
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Research Products
(1 results)