2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520555
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安達 宏昭 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 准教授 (40361050)
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Keywords | 近現代史 / 東アジア / 東南アジア / アジア太平洋戦争 / 大東亜省 / 外交 / 戦時経済 |
Research Abstract |
本年度は、第一に、昨年度の調査で収集しきれなかった「大東亜省」作成文書の調査・収集を実施した。外務省外交史料館、防衛省防衛研究所図書館、三井文庫などで調査収集を行うとともに、大東亜省が発行していた図書の収集も行った。そして、昨年度に収集したものとあわせて、所蔵機関ごとに文書目録を作成した。この目録を作成したことにより、史料の統計的な分析ができるようになり、残存している簿冊の約78%が、中国(「満洲」を除く)に関するものであることがわかった。 第二に、大東亜省の組織に関する分板を進めた。1943年8月時点の職員録を使用して、課レベルで職員の統計的な分析を行うとともに機構図を作成した。そして、大東亜省の組織としての全体像を把握することができた。大臣官房を除くと、満洲事務局の開拓課に最も多く配置されていることがわかった。さらに、1944年度・1945年度の予算関係書を使って、大東亜省の予算内訳を作成した。このことにより、大東亜省の組織維持にかかる費用と施策に投入する費用とに分類して把握することができた。施策に投入する費用については、「満洲」開拓補助に投入する費用が比較的大きな比重を占めていることが判明した。 第三に、大東亜省の施策に関する分析も進めた。大東亜省が管轄した大東亜建設審議会第11部会(繊維原料増産策の立案を担当)の活動を明らかにするとともに、実際に大東亜省が中国において実施した棉花増産策を解明し、政策の立案と展開を総合的に分析した。具体的には、棉花増産のために、中国華北地方において棉花栽培を行う農家に対して「満洲国」から食糧を供給するとともに、華中の江北地方沿岸部にある塩分を含んだ未開墾地の開拓に着手したことを明らかにした。
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