2009 Fiscal Year Annual Research Report
世紀転換期における国民・ジェンダー規範の形成―トランス・ナショナルな視点から
Project/Area Number |
19520562
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
加藤 千香子 Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (40202014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 順光 大阪大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80334613)
松原 宏之 国立大学法人横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00334615)
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (50221958)
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Keywords | トランス・ナショナル / 黄禍論 / 世紀転換期 / 国民国家 |
Research Abstract |
本プロジェクトでは、19-20世紀転換期の日本及び英米独各国において、スタンダードな「国民」「市民」規範が形成される過程を、各国における社会文化状況をふまえながら検証することを目的としている。本年度においては、研究代表者・分担者それぞれがこれまでに進めてきた研究を補強することに力を注ぐとともに、さらに対象とする時代を、世紀転換期にベースをおきながらその後の戦間期にも視野を広げながら、規範形成過程のみならず、それが実際の社会において現れた社会文化的事象を具体的にとりあげるという点で新たな成果をあげた。 代表者の加藤は、『ジェンダー史叢書 暴力と戦争』の編集にあたり、分担者の橋本も同書に執筆し、黄禍論とジェンダーにかかわる新しい研究を発表した。同論集は、20世紀における「暴力と戦争」というテーマを、ジェンダーや「国民」規範との関係から広くとらえる視点を打ち出し、またトランス・ナショナルな観点の意義を重視しながら、多くの国や地域の歴史研究者を集めたものである。また、分担者の小玉は、少子化問題を歴史的に掘り下げる研究成果をあげているが、その背景として、本共同研究の共通の視点である、「国民」規範やジェンダー視点、そしてトランス・ナショナルな観点が生かされている。分担者の松原も、1910年代アメリカにおける「市民」規範にかかわる成果をあげている。 近代世界における各国の国民国家形成過程における規範のみならず、それが社会秩序形成にどのように影響しているかといった点にかかわって、各国の比較および相互連関性についての実証研究を進展させたことは、本プロジェクトの成果として特筆すべき点といえる。
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Research Products
(8 results)