2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本史学の国際的環境に関する基礎的研究-戦前イェール大学を対象として-
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19520563
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河西 英通 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 教授 (40177712)
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Keywords | 日本史学 / 国際的環境 / イェール大学 / エルスワース・ハンチントン / 朝河貫一 / 原勝郎 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に則り、以下の通り、研究を進めた。 1、米国コネチカット州ニューヘブンのイェール大学スターリング記念図書館所蔵のエルスワース・ハンチントン文書の調査:2005年の予備調査を踏まえて、9月に本格調査を行い、(1)ハンチントンの著書の執筆過程の資料、(2)日本人研究者との往復書簡、(3)1923年の来日をめぐる資料などを収集した。ここで明らかになったことは、地理学者ハンチントンと日本の歴史家をはじめとする知識人集団との交流の深さであり、本研究課題のキーワードである「国際的環境」の重要性が改めて確認された。 2、福島県立図書館所蔵の朝河貫一宛書簡の調査:イェール大学で歴史学を担当していた朝河貫一に宛てられた日本人歴史家の書簡の調査を行い、1910〜30年代において朝河が日本の歴史家にとって公私ともに重要なポジションを占めていたことを確認した。朝河貫一は日本の歴史学界において必ずしも、十分にその学的価値が認められているとは限らない。今回の書簡調査によって、いかに当時の日本人歴史家が朝河に期待・依頼していたかが明らかになった。日本史学の形成が一国的なサイズでとらえられないことが改めて確認された。 3、朝河貫一に関する研究:本研究課題に占める朝河の位置を明らかにするために、朝河貫一研究会(本部早稲田大学)に参加し、朝河研究者との情報交換、研究交流を進めた。今後、早稲田大学所蔵の朝河貫一文書(MF)を調査する予定である。
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