2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害と地域社会の対応-18・19世紀、木曽三川流域での土石流災害を中心に-
Project/Area Number |
19520565
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
秋山 晶則 Gifu Shotoku Gakuen University, 教育学部, 教授 (40293691)
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Keywords | 日本史 / 災害文化 / 地域社会 / 治水 / 土石流 / 木曽三川 |
Research Abstract |
本研究は、自然と人間の関係史を探る一環として、災害をめぐる地域社会の対応に焦点をあて、木曽三川流域の土石流災害を中心に検討を行うものである。なお、当該流域では、「蛇抜」などの災害文化史研究が進展しつつあるが、土砂問題や土石流災害と対峙する地域社会の動向については、基礎となる一次史料が共有化されておらず、これまで本格的な検討もなされていない。そこで本年度は、昨年度に引き続き、対象史料を徹底的に収集・分析し、可能な限り共有データを構築することを課題として、以下の調査を行い、災害を通してみた地域社会の多様な存在形態を探る一階梯とした。 第一に、木曽三川流域の土石流災害情報を、一次史料に基づき実態的に追求し、データ整備を行った。揖斐川下流域の断層谷周辺で起きる災害情報を精査するとともに、中・上流域との影響関係も含めた追加史料の収集・整理を行った。 第二に、土石流災害に対して、地域村々がどのように対応したのか、領主支配文書のうち、旗本高木家文書、笠松陣屋堤方役所文書、および大垣藩政史料を通して、地域の動向を調査した。さらに、地域の実態に迫るべく、揖斐川下流域の断層谷周辺や対岸部高須輪中ほか、流域に伝来する地方文書を新たな情報として加え、地域間利害の調整、地域連合や治水組織の形成のされ方を追跡した。 第三に、流域に伝来する多数の災害絵図を対象に、エリアの同定及び作成年代の比定を進め、情報資源化と共有化にむけたデータ整備を行うとともに、絵図活用の可能性を探求した。
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